
田布施の家
本来、建築は暮らし方から造形へと展開していくことが多い。しかし施主ご夫婦は、田布施という故郷への深い感謝と敬意から、自分たちが“環境に生かされている存在”であることを強く意識していた。 人もまた地域の生態系を形づくる一つの生き物として、自然に負荷をかけず、山と海に寄り添いながら暮らす——その姿が家づくりの出発点となった。
林と畑に囲まれて佇む邸宅は、地中に半ば埋まりつつ、丘の稜線にそっと横たわる。エントランスの扉を開くまでは、海の気配には気づきにくい。しかし一歩足を踏み入れると、窓一面に瀬戸内の穏やかな海と、そこに浮かぶ島々の光景が広がる。
敷地内のどこにいても自然の力を享受できるよう計画された空間は、麻里布地区に抱かれた家族の暮らしを静かに、そして力強く支えていく。















